欧州4か国の集中治療室におけるカテーテル関連血流感染の疫学、医学的転帰、および費用:文献および登録データに基づく推定★★
Epidemiology, medical outcomes and costs of catheter-related bloodstream infections in intensive care units of four European countries: literature- and registry-based estimates
E. Tacconelli*, G. Smith, K. Hieke, A. Lafuma, P. Bastide
*Catholic University, Rome, Italy
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 97-103
欧州ではカテーテル関連血流感染(CRBSI)の発生率が高いにもかかわらず、疾患による負担についての情報は少ない。欧州4か国(フランス、ドイツ、イタリア、英国)を対象として、集中治療室(ICU)入室中のCRBSIによる医学的転帰および費用を推定するため、利用可能なデータのレビューを行った。これらのデータに基づいて、CRBSIに関連する上記4か国の死亡率と年間費用を推定した。その結果には各国間で大きなばらつきがみられ、CRBSI発生率は1.23~4.2件/1,000カテーテル日、8,400~14,400件/年、死亡は1,000~1,584例/年、CRBSIによるICU在室日数は15,960~201,600日、関連費用は3590万~1億6390万ユーロであった。これらのばらつきは、主として疫学調査の質の不均一性、および各国の臨床診療の多様性により説明される。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
欧州の4か国のCRBSIの現状を文献検索により調査した興味深い論文である。各国の医療体制の差によるところが大きい、在室日数や関連費用にばらつきがでるのは当然であるが、それらによる差がでにくい、純粋な感染制御のレベルを示すと考えられる指標であるCRBSI発生率が約3.5倍異なっていた。フランスが最も低く(1,000カテーテル日あたり1.2)、英国が最も高かった(同4.2)。英国のCRBSIの感染制御には大きな問題があるのかもしれないが、一方で確固たるサーベイランスによるCRBSIの確実な検知によるかもしれない。いずれにしても、こういったデータがないとBSI防止に関する議論が進まないので、貴重な情報といえる。
同カテゴリの記事
A large exposure to Brucella melitensis in a diagnostic laboratory
Carbapenemase-producing Enterobacteriaceae in Australian hospitals: outcome of point-prevalence screening in high-risk wards
Web-based reporting of the results of the 2006 Four Country Prevalence Survey of Healthcare Associated Infections
Evaluation of patient-held carbapenemase-producing Enterobacteriaceae (CPE) alert card
Antibiotic use is associated with resistance of environmental organisms in a teaching hospital