中心静脈カテーテル関連血流感染:カテーテル挿入後のケアの改善★
Central venous catheter-related bloodstream infections: improving post-insertion catheter care
I.M. Shapey*, M.A. Foster, T. Whitehouse, P. Jumaa, J.F. Bion
*University of Birmingham, UK
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 117-122
中心静脈カテーテル(CVC)留置患者は血流感染および敗血症関連死のリスクが高い。CVC関連血流感染は高額の医療費を要し、病院感染のかなりの割合を占める。本調査の目的は、CVC挿入後のケアに関する現行の実践とスタッフの知識を評価し、CVC挿入後ケアの改善の余地を明らかにすることである。CVCの使用頻度が高い病棟でCVC挿入後ケアの現行の実践に関する調査をしている大学教育病院で、連続28日間にわたり前向き調査を実施した。CVC挿入およびケアの最良の実践についての多肢選択式質問票を臨床スタッフに配布した。カテーテルケアの過失率およびCVC関連血流感染発生率を算出し、P<0.05の場合に統計学的に有意とした。患者106人に対するCVC 151本、合計721カテーテル・日のデータを記録した。全体でケアの過失は323件、過失率は44.8%であり、集中治療室(ICU)と非ICU病棟との間に有意差がみられた(P<0.001)。頻度の高いCVCケアの過失はドレッシング(不完全な)およびキャップとタップ(誤って設置)であり、1,000カテーテル・日あたりそれぞれ158件、156件であった。調査期間中に4件のCVC関連血流感染が発生し、CVC関連血流感染発生率は1,000カテーテル・日あたり5.5件であった(95%信頼区間0.12~10.97)。CVC挿入後ケアを改善する余地は複数ある。ケアの信頼性を高めるための介入として、今後は教育の向上よりも最良の実践の実施に重点を置く必要がある。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
本事例でスタッフは感染管理の実践方法について知っていながら、それを実践できていないということが判明している。結語で教育よりも実践させることに重点を置くとあるが、知っていながらなぜそれを実践できていないかが検討されていない。この点の検討が、よりよい感染管理の実践のためには必須の要素となってくる。
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