インドの病院における病院感染菌血症に関連する費用:症例対照研究★
Costs associated with hospital-acquired bacteraemia in an Indian hospital: a case-control study
A. Kothari*, V. Sagar, V. Ahluwalia, B.S. Pillai, M. Madan
*Dr BL Kapur Memorial Hospital, India
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 143-148
病院感染症により医療費が増加し、罹患率と死亡率が上昇することが、世界中の研究から示されている。本研究の目的は、インドの三次医療施設における病院感染菌血症に関連する費用と死亡率を明らかにすることである。本研究は、200床の三次心臓病病院の胸部心臓外科における費用効用分析の後向き症例対照研究である。冠動脈バイパス術または弁置換術を受け、術後入院中に菌血症(血液培養陽性)を発症した成人患者を症例とした(24例)。対照は、年齢と性別をマッチさせた、同様の施術を受けたが菌血症を発症しなかった成人患者とした(48例)。データは患者のカルテから収集し、費用解析に関しては他の管理データベースから収集した。病院感染菌血症に関連する入院期間の延長、死亡率、追加費用について解析した。統計解析はFisherの正確確率検定および対応のないt検定で行った。病院感染菌血症患者は対照と比較して入院期間が有意に長く[平均22.9日、95%信頼区間(CI)17.2~28.6、P<0.0001]、ICU入室期間が有意に長く(平均11.3日、95%CI 9.0~13.6、P<0.0001)、死亡率が有意に高く(平均54%、P<0.0001)、費用が有意に高かった(平均14,818米ドル、95%CI 10,663~18,974、P<0.0001)。結論として、病院感染菌血症により、低所得の発展途上国では死亡率と入院費用が有意に増加する。本研究により、病院感染症に伴う費用は、発展途上国と先進国で同等であることが示された。より優れた感染制御計画と設備により、この費用の一部を相殺することが可能であると考えられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
Matched case-controlであるために、症例数が少ないながらも統計的なパワーが高い研究である。これも日本で同様の研究をするときのよい手本となる文献です。
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