ハンガリーの全国病院感染サーベイランスネットワーク:2年間の手術部位感染サーベイランスの結果★
The national nosocomial surveillance network in Hungary: results of two years of surgical site infection surveillance
E. Szilagyi*, K. Borocz, P. Gastmeier, A. Kurcz, E. Horvath-Puho
*National Center for Epidemiology, Hungary
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 74-80
2004年にハンガリーでインターネットを利用した安全性の高い全国的病院感染サーベイランスシステムが設立された。NNSR(Nemzeti Nosocomialis Surveillance Rendszer)と呼ばれるこのシステムは、全米病院感染サーベイランスシステム(NNIS)を基づいている。外科手技、疾病定義、サーベイランス手法、および患者のリスクインデックスはNNISで設定されたものを使用した。この論文では、外科患者を対象としたシステムの最初の2年間の結果を紹介する。この期間には41病院が参加して、11種の外科手技を選択してサーベイランスの対象とした。合計15,812件の手技を調査したところ、結果として360件の手術部位感染が記録された。全体の手術部位感染発生率は2.27%であった。選択された頻度が高い手技およびそれぞれの手術部位感染発生率は、帝王切開(1.31%)、ヘルニア縫合術(2.09%)、胆嚢摘出術(1.52%)、および人工股関節置換術(2.91%)であった。NNISが公表している発生率と比較するために、選択された手術手技に対する標準化感染比(SIR)を算出した。NNISに基づいて予測した発生率と比較して、結腸手術、帝王切開、および乳房切除術における手術部位感染発生率は低かったが、一方、胆嚢摘出術、ヘルニア縫合術、および人工股関節置換術における発生率は高かった。将来的にはより多くの参加病院を募り、ハンガリーの患者を対象とした感染制御介入に使用することができる強固な全国データベースを構築する予定である。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
本来的に医療関連感染症サーベイランスは現場におけるケアの実践レベルを保証するための継続的質改善活動であるが、外科手術部位感染症サーベイランスについてはリスク調整の上で複数の施設のデータをベンチマークとして利用することも有用である。なお、“Nemzeti Nosocomialis Surveillance Rendszer”はハンガリー語であり、“Nemzeti”は英語の“National”、“Rendszer”は“System”を意味するらしく、米合衆国における“NNIS system”と同様のネーミングとなっている。
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