床の清掃:病室の細菌および有機物に対する効果★
Floor cleaning: effect on bacteria and organic materials in hospital rooms
B.M. Andersen*, M. Rasch, J. Kvist, T. Tollefsen, R. Lukkassen, L. Sandvik, A. Welo
*Ulleval University Hospital, Norway
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 57-65
病院環境内の病原菌の拡散を制御するためには、表面の清掃をルーチンに行うことが推奨される。ノルウェーでは従来、病室の清掃は一般に洗剤と水で行われてきた。この研究では、アデノシン三リン酸(ATP)の生物発光を使用する2つのシステム(HygienaおよびBiotrace)により、モップによる床の清掃法について4種類(乾燥モップ法、撒きモップ法、湿らせモップ法、濡らしモップ法)を比較した。この2つのシステムにより、表面に残存する有機物汚染を評価した。モップによる床の清掃法については、清掃の前後に床と空気中から採取した微生物サンプルでも評価を行った。床の有機物はいずれの清掃法でも減少したが、湿らせモップ法と濡らしモップ法の効果が高いと考えられた(それぞれP<0.001、P<0.011、ATP Hygienaによる)。いずれのATP法も簡便であったが、測定値尺度はそれぞれに独自のものであった。清掃法にもよるが、有機物量は清掃によって清掃前のレベルの5%から36%にまで減少した。モップによる床の清掃法は4種類のすべてで、床の細菌数が20 cm2あたり約60~100コロニー(cfu)から30~60 cfuへと減少した。濡らしモップ法、湿らせモップ法、乾燥モップ法は、撒きモップ法と比較して床の細菌数の減少効果が高いと考えられた(それぞれP=0.007、P=0.002、P=0.011)。モップによる清掃直後は、いずれの方法でも空気中の細菌量が増加した。総合的に最も優れた清掃法は、湿らせモップ法と濡らしモップ法による清掃と考えられた。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
アブストラクトだけではわかりにくいが、この論文でいうところの4つの方法を大まかに説明すると、(1)乾燥したモップでそのまま清掃(dry mopping)、(2)床に石けん水を撒いてからモップがけ(spray mopping)、(3)湿らせたモップをビニール袋に入れて冷蔵(moist mopping)、(4)40℃の石けん水に浸したモップをかけた後に乾燥したモップを使用(wet mopping)となる。やはり病院の床は湿式清掃が望ましい。ちなみに汚れたモップを何度も使用すると汚染を拡大することになるため、清潔な清掃用具を使用するように注意しなければならない。床清掃の具体的な方法に「1モップ2バケツ法」と「オフロケーション方式」などがある。「1モップ2バケツ法」とは、バケツをすすぎ用と清拭用に区分して使用したモップをすすぎ、その後に清拭用に浸してから床を清拭する方法である。また、「オフロケーション方式」は使用したモップを取り外して新しいモップを清拭用バケツに浸して清拭していく方法であり、この方法では清拭用バケツに使用済みのモップを浸漬することがない。使用後のモップは80℃、10分間以上の熱処理を含むのが適当であり、乾燥させなければモップそれ自体に菌が繁殖するために乾燥を保つように注意する必要がある。
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