手術時の手洗い:われわれは手洗いによる二酸化炭素排出を減らすことができるか?
Surgical scrubbing: can we clean up our carbon footprints by washing our hands?
J.E.A. Somner*, N. Stone, A. Koukkoulli, K. M. Scott, A. R. Field, J. Zygmunt
*Gartnavel General Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 212-215
地球の気候は変動しており、その原因は人間の活動であるとする科学的コンセンサスが形成されつつある。したがって、われわれは各々に自らの生活が環境にどのような影響を及ぼしているのかを省察しなければならない。この研究の目的は、手術時の手洗いによる水の使用量の調査である。技術改革によって、より「環境にやさしい」手洗い方法がもたらされるかどうかを検討するために、2種類の給水システムを評価した。2か所の手術室で外科医、助手、手術室看護師などからなる10名以上を観察した。各手術室で25件ずつの手術時の手洗いを観察し、水道の使用時間を記録した。手術時手洗いにおける水道使用時間の平均は、ガートナベル総合病院で2分23秒[最長4分37秒、最短49秒、標準偏差(SD)55秒]、ストブヒル病院は1分7秒(最長2分25秒、最短19秒、SD 33秒)であった。「水道使用」平均時間(秒)は、ガートナベル総合病院のほうがストブヒル病院より有意に長かった[t(39.5)=P<0.001]。蛇口の構造の相違により、手術時手洗い1回につき、正味温水5.7 L、熱量約600 kJ、二酸化炭素80 gを節減することができた。手術時手洗いは医療環境の各所で日々実施される行為である。簡易な技術的解決策により、手洗い方法の修正と、それによる水およびエネルギー使用量の削減がもたらされるとともに、手術時の手洗いによる二酸化炭素排出が減少する。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
なるほどエコなアプローチですが、やはり、その結果で患者さんにメリットがあったかどうかを知りたいように思います。環境に優しく患者に厳しい、とか、外部評価に優しく現場に厳しい、とかいうような感染対策は避けたいところです。もちろんエコは大事ですが。
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*University of Ulsan College of Medicine, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 476-483