オスロのナーシングホームにおける感染制御とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌★★
Infection control and meticillin-resistant Staphylococcus aureus in nursing homes in Oslo
I. Sie*, M. Thorstad, B.M. Andersen
*Diakonova University College, Norway
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 235-240
医療関連感染減少のためには医療従事者の役割が重要であるが、依然として病原微生物に感染あるいは保菌している医療従事者が他者に伝播させている可能性がある。医療環境における感染制御に関するノルウェーの方針は、患者と医療従事者の両者を対象とした感染制御プログラムを重視している。この研究では、2006年から2007年の期間に、オスロのナーシングホーム55か所のうち42か所の医療従事者を対象として、感染制御プログラムの実施に関する調査を参加した。看護職員[准看護師(enrolled nurse)および看護補助員(assisting staff)]、病棟看護師(ward sister)、施設管理者のそれぞれを対象とした3種類の質問票を使用した。ナーシングホームの70%近くはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感染・伝播に対する制御策を講じており、また約60%はMRSA感染の感染源を追跡するための方策を講じていた。病棟看護師の約80%は、創傷が治癒しないとき、患者が国外の病院から転院したとき、患者がMRSA感染患者と同室したとき、または患者にMRSA陽性歴がある場合に、患者のMRSA検査を行っていた。また病棟看護師の約40%は、慢性尿路感染症患者または他院からの転院患者にMRSA検査を行っていた。看護職員の約20%は、MRSA陽性患者を看護した経験があった。国外の医療施設での勤務経験のある職員は4%のみ、MRSAの検査を受けたことがある職員はごく少数であった。回答した看護職員の約20%が同時に複数の施設に勤務していた。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
どのようなときにMRSA検査を実施するのか、MRSAが極めて少ないノルウェーからの報告である。わが国では黄色ブドウ球菌の多数が MRSAとなってしまっている日常であるが、ノルウェーを含む北ヨーロッパ諸国ではMRSAは“(日本などの)国外から持ち込まれる病原体”と認識されていることにも注意を払うべきである。
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