塩素処理サイクルの反復にもかかわらず、mip遺伝子を有するLegionella pneumophilaの単一株が市営のシャワー設備で長期持続した例
Long-term persistence of a single Legionella pneumophila strain possessing the mip gene in a municipal shower despite repeated cycles of chlorination
I.R. Cooper*, J. White, E. Mahenthiralingam, G.W. Hanlon
*University of Brighton, UK
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 154-159
家庭用給水システムへのレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)の定着は、ヒトのレジオネラ症アウトブレイクの主要な原因となっている。世界保健機関(WHO)のガイドラインは、飲用水を0.2~1 mg/Lの塩素で処理することを推奨しているが(Chlorine in drinking-water. Guidelines for drinking-water quality, 2nd edn. Geneva: World Health Organization; 1996)、塩素処理した給水システムからL. pneumophilaが反復して分離されることから、この処理は細菌定着の効果的な予防法ではないことが示唆される。英国の現行のガイドラインでは、細菌除去のために20~50 mg/Lの遊離塩素による単回処理を推奨している。本調査では、2年半にわたり50 mg/Lの塩素に1時間曝露する処理サイクルを反復したにもかかわらず、家庭用シャワー設備でL. pneumophila血清グループ1型が持続したことを報告する。持続分離株に対して、in vitro表現型解析、および毒素をコードするmip遺伝子のPCR法による解析を実施した。異なる機会に採取した分離株が同一株であるかどうかを調べるために、DNA多型性ランダム増幅(RAPD)タイピングも実施した。その結果、2年半にわたって採取したL. pneumophilaの7分離株は遺伝的に同一株であると判定されたことから、分離のたびに塩素処理サイクルを反復しても、この細菌は持続的に存続可能であることが示された。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
塩素による除菌以外にも、高温水によるフラッシングも有効である。特に末端で65℃以上の温水が供給できるような給湯システムでは、レジオネラが生息することは不可能である。また給水システムに構造上の盲端を極力作らないようにすることは、レジオネラ予防の第一歩である。
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