人工呼吸器関連肺炎予防のためのエビデンスに基づくガイドライン:欧州の集中治療室看護師に対する知識判定試験の結果★★
Evidence-based guidelines for the prevention of ventilator-associated pneumonia: results of a knowledge test among European intensive care nurses
S. Labeau*, D. Vandijck, J. Rello, S. Adam, A. Rosa, C. Wenisch, C. Backman, K. Agbaht, A. Csomos, M. Seha, G. Dimopoulos, K.H. Vandewoude, S. Blot, for the EVIDENCE study investigators
*University College Ghent, Belgium
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 180-185
感染予防に関するeラーニング・プラットフォームの開発に先立ち、必要性分析の一環として、欧州の集中治療室(ICU)の看護師を対象に、人工呼吸器関連肺炎予防のためのエビデンスに基づくガイドラインについての知識判定試験を行った。2006年10月から2007年3月に、検証済みの多肢選択式質問票を欧州22か国で配布した。人口統計学的データとして、国籍、性別、ICU勤務年数、ICUのベッド数、集中治療の専門学位の取得などを尋ねた。3,329部の質問票を回収した(回収率69.1%)。平均スコアは45.1%であった。回答者の55%は挿管には経口ルートが推奨されていること、35%は人工呼吸器回路は新規の患者ごとに交換すべきことを知っていた。熱・湿気交換器としては加湿器型が推奨されることを知っていたのは38%であったが、1週間に1回交換すべきことを知っていたのは21%のみであった。閉鎖吸引システムが推奨されるとしたのは46%、新規の患者ごとに交換すべきことを知っていたのは18%のみであった。声門下ドレナージとカイネティックベッド※は人工呼吸器関連肺炎の発現率を低下させることを認識していたのはそれぞれ51%、57%であった。回答者の大半(85%)は、半臥位が人工呼吸器関連肺炎を予防することを知っていた。ICU勤務年数が長いことおよびICUベッド数が多いことは、良好な試験スコアと独立して関連していた。さらなる研究により、試験スコアが低いことは、知識の欠如、訓練不足、何を適切な医療行為とするかの相違、一貫した方針の欠如などと関連するかどうかが判明すると考えられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
大変重要な報告である。果たしてわが国の集中治療室の看護師は、この質問用紙でどれぐらいの正解率を得られるであろうか。1度は翻訳して使用してみたいものである。
監訳者注:
※カイネティックベッド(kinetic bed):ベッド自体に移動機能が備わり、体位変換に準じ理学療法を行うことのできるベッドのこと。
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*University of Ulsan College of Medicine, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 476-483
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