帝王切開後の強化した手術部位感染症サーベイランス:多施設共同退院後システム(multicentre collaborative post-discharge system)の経験★★

2008.10.31

Enhanced surgical site infection surveillance following caesarean section: experience of a multicentre collaborative post-discharge system


V.P. Ward*, A. Charlett, J. Fagan, S.C. Crawshaw
*Health Protection Agency, UK
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 166-173
英国での帝王切開の実施率は過去20年間で2倍以上となり、現在も上昇が続いている。帝王切開関連感染症の発生率を同定するために実施された研究の多くは、対象を入院中の患者に限定しているため、正確な結果が得られていない可能性がある。帝王切開を実施した女性は、退院後に地域助産師によるルーチンの訪問を受ける。これは、病院と地域スタッフとの共同サーベイランスアプローチが、ルーチンに入手できる情報を利用しながら実施可能かどうかを評価する好機となる。パイロット研究の成功を受けて、英国のイースト・ミッドランドの11の産科部門が拡大研究に参加した。完全な診療記録を5,563名(88%)から得ることができた。全体で758名(13.6%)に創感染症が報告され、このうち84%は退院後に発生していた。そのうち488件(8.9%)が英国の手術部位感染症の定義に合致していたが、発生率には施設間に2.9%から17.9%の範囲で顕著な相違が認められた。統計学的モデルを用いて12の危険因子について施設間の相違を検討したところ、体格指数(BMI)、年齢、出血量、創閉鎖法、緊急手術の5つの危険因子が手術部位感染症の発生に有意に関連することが示された。この結果は、帝王切開は高い感染率と関連することを示唆しており、退院後のモニタリングなしでは感染率はかなり過小評価されていると考えられる。創感染症が発生した女性のほとんどが、感染症が軽度であっても抗菌薬治療を受けており、その97%は地域内で処方されていた。このことから、地域における抗菌薬処方を再検討する必要性が示唆された。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
SSIは術後30日以内に発生した創部感染症であるから、post-discharge surveillance(PDS)は、入院期間が短い施設では特に重要である。しかしながら、退院後に患者の主治医とのコラボレーションが可能なセッティングでなければ過小評価につながる。わが国でもこのまま入院期間の短縮が続くと、PDSの重要性が今よりもっと出てくる。

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