手術用手指消毒薬のためのTentative Final Monograph(暫定的最終モノグラフ;TFM)およびEN 12791の試験法の比較検討★★

2008.10.15

Comparative review of the test design Tentative Final Monograph (TFM) and EN 12791 for surgical hand disinfectants


P. Heeg*, C. Ostermeyer, G. Kampf
*University of Tuebingen Medical Centre, Germany
Journal of Hospital Infection (2008) 70(S1) 22窶・6
外科チームの術前手指消毒は、手術部位感染リスクを低下させるために世界中で実施されている標準的処置である。擦式アルコール製剤と抗菌剤入りの液体洗浄剤(「石けん」)の2種類の生体消毒薬が市販されている。生体消毒薬の抗菌効果を評価するための基準として、2005年に最終的に施行された欧州統一規格のEN 12971や、これに相当する米国の規格である医療用消毒薬のためのTentative Final Monograph(暫定的最終モノグラフ;TFM)(1994年)が策定されている。いずれの試験法でも、手指常在細菌叢の減少量を抗菌効果の定量的パラメータとしているが、試験デザインは大きく異なっている。欧州の試験法は無作為化比較対照クロスオーバーデザインであるのに対し、米国の試験法は無作為化盲検並行群間比較デザインである。いずれの基準でも処置の即効性と持続性の両方を対象としているが、ENでは試験製品の効果が対照処置よりも有意に劣ってはならないとしているのに対し、TFMでは片手あたりの細菌数減少の絶対値が1、2、5日目でそれぞれ1、2、3 log10以上であることを求めている。
様々な研究の結果から、同一製品が両方の基準で定義された規格を満たす場合もあるが、一方の基準の規格を満たしても、必ずしも他の基準要件を満たすわけではないことが示されている。両試験法には多くの顕著な相違が存在するために、不一致が生じると考えられる。多くの理由から、欧州の試験法は米国の試験法よりも臨床診療に近く、患者に対する安全性が高いと考えられる。しかし、現在入手可能な試験データからは、手術時の手指消毒の臨床的影響や、特定の製品による術後創感染率への影響を評価することはできない。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
わが国には手指衛生剤の評価に関する公定法がなく、わが国の手指衛生剤の製品評価ならびに認可については米国・EUの基準を参考に早急に基準を策定する必要がある。TFMはなぜか暫定のまま今日に至っている。一応、EN基準は定期的な改訂が予定されている。

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