クロルヘキシジンによる手指消毒を正当化するものは何か?★

2008.10.15

What is left to justify the use of chlorhexidine in hand hygiene?


Gunter Kampf*
*BODE Chemie GmbH & Co. KG, Germany
Journal of Hospital Infection (2008) 70 (S1), 27-34
手指衛生のためのCDCガイドラインには、グルコン酸クロルヘキシジンは「かなりの残留活性」を有する消毒薬であると記載されている。しかし、すべての試験でこの考えが支持されているわけではない。懸濁試験(EN 13727など)および実用条件下試験(EN 1500など)ではいずれも、曝露後にサンプル液中のあらゆる残留活性を中和して、生存細胞が引き続いて損傷を受けないようにすることが重要である。また、中和手順についても質の保証をする必要がある。以上のことが実施されていない場合には、有効性が著しく過大評価される可能性があり、医療従事者が一部の消毒薬については真の有効性を示していないデータに依拠してしまうことになる。「かなりの残留活性」を裏づけるものとして引用されている8試験をレビューした結果、質的に保証された中和手順により実施された試験は1つもなかった。このうち7試験は、グルコン酸クロルヘキシジンの残留活性を示していなかった。1試験のみは一部の残留活性を報告しているが、中和剤を全く使用していなかったため、試験デザインの妥当性からこの試験の主張は是認できない。消毒薬の使用を正当化するためには、その効果があらゆるリスクを上回る必要がある。手指消毒でグルコン酸クロルヘキシジンに真の有用性が認められない場合は、皮膚過敏症、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応、細菌の獲得耐性などのすべてのリスクがなおさら重要となる。グルコン酸クロルヘキシジンによる手指消毒の効果を明確に裏づける、妥当性のある新しいエビデンスがない限り、医療従事者はグルコン酸クロルヘキシジンを含有しない製剤を選択すべきである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
グルコン酸クロルヘキシジンは生体消毒薬としてカテーテル刺入部の消毒に欧米では広く使用されている。わが国では、過去に高濃度の製剤を粘膜面に使用しショックを起こした事例があることから、欧米ほどその使用が普及していない。

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*Federal University of Uberlandia, Brazil
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 303-310