2006年度の4か国医療関連感染有病率調査(Four Country Healthcare Associated Infection Prevalence Survey)における危険因子の解析
Four Country Healthcare Associated Infection Prevalence Survey 2006: risk factor analysis
H. Humphreys*, R. G. Newcombe, J. Enstone, E. T. M. Smyth, G. Mcllvenny, F. Fitzpatrick, C. Fry, R. C. Spencer, on behalf of the Hospital Infection Society Steering Group
*Royal College of Surgeons in Ireland, Ireland
Journal of Hospital Infection (2008) 69, 249-257
点有病率調査は、医療関連感染のパターンの変動を検出するうえで有用である。英国病院感染学会(HIS;Hospital Infection Society)は2004年に、イングランド、ウェールズ、北アイルランド、およびアイルランド共和国を対象とした第3回全国有病率調査を実施するように要請された。スコットランドでは、同一ではないが類似した調査が実施されている。データを米国疾病対策センター(CDC)の定義に基づいた標準化した形式で収集した。この報告では、すべての医療関連感染およびその主要カテゴリー(原発性血流感染、肺炎、手術部位感染、および尿路感染)の広範な危険因子との関連を検討する。全医療関連感染有病率は7.6%であり、年齢とともに有意に上昇した。末梢静脈カテーテルおよびその他の膀胱器具の最近の使用を除いて、検討したすべての危険因子は医療関連感染のリスクの増加と極めて有意に関連していた。原発性血流感染は抗菌薬投与、中心静脈カテーテルの使用、および経静脈栄養の実施と関連していた。肺炎は抗菌薬投与、中心静脈カテーテルの使用、経静脈栄養の実施、人工呼吸器の使用、および現在の末梢静脈カテーテルの使用と関連していた。手術部位感染は最近の手術、抗菌薬投与、中心静脈カテーテルの使用、人工呼吸器の使用、および経静脈栄養の実施と関連していた。尿路器具の使用および抗菌薬投与は尿路感染と関連していた。集中治療部門に入院した患者は、医療関連感染有病率が最も高かった(23.2%)。本報告は、原発性血流感染(中心静脈カテーテルなど)および肺炎(人工呼吸器など)などの医療器具関連感染が、医療関連感染を予防する上で注意を払うべき領域であることを明らかにした。またこの報告は、例えば危険因子の記録は評価時のみで十分であることなど、医療関連感染に関する今後の有病率調査のプロトコールを左右するものと考えられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療関連感染サーベイランスの結果としては極めて常識的である。医療器具の使用、侵襲的な医療処置、最近の抗菌療法が代表的なリスクであり、患者年齢や集中治療部門への入院などもリスクである。
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