院内感染による直接医療費の増加:フランスの大学病院の患者コホートによる推定★

2008.02.28

Additional direct medical costs of nosocomial infections: an estimation from a cohort of patients in a French university hospital


C. Defez*, P. Fabbro-Peray, M. Cazaban, T. Boudemaghe, A. Sotto, J.P. Daures
*Groupe Hospitalo-universitaire Caremeau, France
Journal of Hospital Infection (2008) 68, 130-136
フランスのニーム大学病院の急性期および長期ケアに関するコホート研究を利用して、院内感染による直接医療費の増加額を推定した。2001年5月から2003年1月に入院した院内感染患者を曝露患者、その他の全患者を非曝露患者とした。気道、血流、手術部位、尿路、およびその他の部位の感染部位ごとに30例を無作為に選択し、合計150例の曝露患者とした。各曝露患者を性別、年齢、基礎疾患の重症度、病院の退院記録による診断、入院病棟、および組み入れ前の入院期間に従って、非曝露患者1例とマッチさせた。曝露患者の直接医療費の増加額を非曝露患者と比較し、実費用と診断群分類(diagnosis-related group;GRD)の医療費の差を算出した。臨床検査、放射線手技、手術とその予備検査、および抗菌薬に要した費用は、気道感染2,421ユーロ、手術部位感染1,814ユーロ、血流感染953ユーロ、尿路感染574ユーロであった。急性期ケアでの院内感染による追加費用(直接医療費および延長した入院期間の費用)の合計は、最大年間320万ユーロと推定された(95%信頼区間2,275,063~4,132,157ユーロ)。結論として、すべての医療施設は、回避可能な院内感染の予防および実費用のより正確な推定を優先すべきである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
院内感染による医療費増加の推定値として、先行する研究とさほど違わない値になっており、新たな知見をもたらしたとは言えない。しかし、各々の国レベルでこういった検討を行うことは必要であり、その意味で有意義な研究と言える。特に、病院管理者に対して院内感染が病院経営上好ましくなく、その防止が経営に寄与することを示す上で欠かせない情報である。

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