小児および成人入院患者の便培養に対する改良型3日間ルール(three-day rule)の安全性および費用削減★★

2007.10.31

Safety and cost savings of an improved three-day rule for stool culture in hospitalised children and adults


L. Seyler*, A. Lalvani, L. Collins, L. Goddard, I.C.J.W. Bowler
*John Radcliffe Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2007) 67, 121-126
入院3日後に患者から培養用に提出される便検体は、Clostridium difficileを除いては病原性腸内細菌の検出率が低く(<1%)、検体処理費用が高価となる。検体除外のための「3日間ルール」は、すでに成人で妥当性が確認されている。著者らは、1995年から2002年のすべての便培養の結果を後向きに調査することにより、小児の便検体に対する3日間ルールを評価した。C. difficileを除く病原性腸内細菌の検出率は、入院後3日以内に提出された検体で97/3,751(2.59%)、入院後4日以降に提出された検体では3/1,511(0.2%)であった。本ルールをこの3検体に適用すると、培養基準に適合していた。本ルールを2000年の2カ月間にわたって、小児および成人の両方に適用した場合の費用削減を前向きに推計した。費用削減は、小児よりも成人のほうが大きかった。小児由来490便検体中38検体(7.8%)および成人患者由来の206の便検体中64検体(31%)が培養基準に適合しなかった。著者らは、2003年3月1日から2006年3月31日まで、本ルールを実施した。合計14,439の便検体を、C. difficileを除く病原性腸内細菌の培養が必要な入院患者より得た。これらのうち5,744検体(39.8%)は、培養基準に適合していなかったため除外した。これにより、著者らのNHSトラスト施設の検査室では年間11,848ポンドの費用削減となると推計された。全NHSトラスト施設にあてはめると、年間約118万ポンドの費用削減になると考えられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
細菌性腸管感染症は市中感染症であり、通常入院時にすでに発症している。その診断のための便培養検査が、入院後3日を超えて提出されることは考えにくい。そこから発生した「3日間ルール」を、成人だけでなく小児にも適用し、検査の無駄を省いたという非常にわかりやすい論文である。検査の無駄を省くことは、包括支払い制度のもとでは病院の収益につながり、日本の医療機関にとっても応用できるルールである。
監訳者注:
3日間ルールには4日目以降の便培養検体採取基準があり、この3検体はその基準にあてはまるので、取りのがすことはなかった、の意味。

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