内科集中治療室における患者の緑膿菌保菌に対する水道水の関与
Contribution of tap water to patient colonization with Pseudomonas aeruginosa in a medical
intensive care unit
A.-M. Rogues*, H. Boulestreau, A. Lasheras, A. Boyer, D. Gruson, C. Merle, Y. Castaing, C.M. Bebear, J.-P. Gachie
*Universite Victor Segalen Bordeaux 2, France
Journal of Hospital Infection (2007) 67, 72-78
本研究では、内科集中治療室の緑膿菌の感染源として、水道水を調査した。著者らは、16床の内科集中治療室で6カ月間にわたり、患者、水道水、および医療従事者の手指の検体を前向きにスクリーニングした。緑膿菌株の分子レベルの関連性をパルスフィールド・ゲル電気泳動法で調べた。合計657の水道水サンプルを39の蛇口から採取し、医療従事者の127の手指からサンプルを採取した。緑膿菌は、患者の集中治療室で採取した484の水道水サンプルの11.4%、その他の189の水道水サンプルの5.3%から検出され(P<0.01)、患者38例から分離された。血清型が重複していない73分離株(水サンプル、医療従事者の手指、および患者)に、32の主要なDNAパターンが認められた。21の蛇口のうち11(52.4%)は患者由来菌株に汚染されていたが、9例は当該患者が入室した集中治療室の水道水から分離される以前に、2例は隣接の部屋の水道水から分離される以前に患者から検出されていた。医療従事者の手指から分離された7つの緑膿菌株から得られた遺伝子型は、6例では彼らが最後に接触した患者由来のものと同一であり、7例目は最後に使用した水道水サンプルによるものであった。患者の緑膿菌保菌は、半数以上が水道水または交差伝播で生じた。患者の緑膿菌保菌は、水道水への定着の原因であるとともに、それによって引き起こされるものでもあった。これらの結果から、水道水汚染の管理をいかに行うべきかという研究の必要性が強調される。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
生活環境に生息する緑膿菌、ことに水道関連との関係を分子疫学的に検討した論文である。院内生活環境には必ずシュードモナス属が検出され、これらは一般的に多様性に富む。従って鶏か卵かの水掛け論になりかねないが、施設内アウトブレイクのある際にはこうした生活環境の検査ならびに整備を行うことになる。同時に、症例対象研究なども地道におこないオッズ比からリスク要因を見いだし検討を加える必要もある。
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