フランスの集中治療室ネットワークREACATにおける中心静脈カテーテル感染の5年間のサーベイランスの影響★
Impact of a five-year surveillance of central venous catheter infections in the REACAT intensive care unit network in France
F. L’Heriteau*, M. Olivier, S. Maugat, C. Joly, J. Merrer, F. Thaler, B. Grandbastien, G. Beaucaire, P. Astagneau, for the REACAT catheter study group
*Regional coordinating Centre for Nosocomial Infection Control, France
Journal of Hospital Infection (2007) 66, 123-129
中心静脈カテーテル(CVC)関連感染(CRI)は、集中治療室(ICU)における感染制御の主要な標的である。本研究の目的は、フランス北部の自由意志によるICUネットワークでのCRI発生率の経時的変動について記述することである。毎年4カ月間のサーベイランス期間中に、48時間以上留置されているすべてのCVCを、抜去まで、または患者の退院まで前向きに追跡した。保菌およびCRIの判定には、標準的な臨床的および微生物学的基準を使用した。標準化感染比(SIR)を「実際に発生したCRIの数÷予測されたCRIの数」で算出し、予測CRI数はCRIの危険因子を組み入れたロジスティック回帰モデルにより計算した。各サーベイランス期間後に、CRI発生率とSIRをベンチマークとしてICUにフィードバックした。2001年から2005年にかけて、135カ所のICUが1期以上のサーベイランスに参加した。全体で、患者9,182例のCVC 11,703例(122,495中心静脈カテーテル日)を対象とした。CRI発生率は1,000カテーテル日当たり2.8例であった。連続3期以上参加した35カ所のICUのCRI発生率は、58.6%の有意な減少を示した。これらのICUでは、1期目から3期目のサーベイランス期間にかけて、SIRも有意に低下した。以上の結果から、サーベイランスプログラムはICUにおけるCRIのリスクに重大な影響を及ぼすこと、およびICUにおける病院感染に対抗するための重要な戦略であることが示唆される。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
期間限定のサーベイランスでも感染率を低下させることができた点で興味深い論文である。サーベイランスの重要性自体は周知のことであるが、アメリカ以外でも大規模なネットワークによるサーベイランスが行われていることもまた興味深い。
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