高齢者介護施設における無莢膜型Haemophilus influenzaeに起因する感染のアウトブレイク

2007.05.30

An outbreak of infections caused by non-typeable Haemophilus influenzae in an extended care facility


M. Van Dort*, C. Walden, E.S. Walker, S.A. Reynolds, F. Levy, F.A. Sarubbi
*James H. Quillen Veterans Affairs Medical Center, Tennessee, USA
Journal of Hospital Infection (2007) 66, 59-64
無莢膜型Haemophilus influenzae(NTHi)による感染の院内アウトブレイクについては、ほとんど報告されていない。基礎疾患として肺疾患を有する高齢患者はリスクが高いこと、およびヒト-ヒト間伝播は疾患伝播の鍵となることを示唆する報告がわずかにある。2005年夏季の退役軍人ナーシングホームにおけるNTHi感染のアウトブレイクを記述する。患者13例は、識別不能なSmaIマクロ制限酵素切断パターンを示すβ-ラクタマーゼ陰性生物型III NTHi分離株が関与する結膜炎または下気道感染を発症した。患者は高齢男性で、多くは基礎疾患として心疾患および肺疾患を有していた。症例対照研究ではNTHi感染に対する重要な特異的な危険因子を明らかにできず、またナーシングホーム内における症例の空間的群発のエビデンスは認められなかった。アウトブレイク中のナーシングホーム患者を含む無作為な咽頭培養調査では、NTHiを保菌していたのは患者19例中わずか1例であった。適切な治療を実施し、普遍的飛沫予防策と呼吸器の飛沫予防策に重点を置いた後にアウトブレイクは終息した。全例が回復し、特定のアウトブレイク誘発イベントは明らかにならなかった。文献レビューにより、院内NTHi感染に対する対応の範囲、およびNTHiアウトブレイクに対する感染管理対策に関する合意の欠如が明らかになった。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
インフルエンザ菌のうち深部感染症を引き起こすのは莢膜型別のb型が多い。一方で血清型別はa~fまでと、それ以外の無莢膜型の血清型別不能群(NTHi)に分けられる。著者も記しているように高齢者介護施設におけるNTHiの事例はまれである。

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*University of Turin, Italy

Journal of Hospital Infection (2024) 149, 14-21


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