香港の大学医療センターにおける病院感染症有病率および抗菌薬の使用★★
Prevalence of hospital infection and antibiotic use at a University Medical Center in Hong Kong
M.K. Lee*, C.S. Chiu, V.C. Chow, R.K. Lam, R.W. Lai
*Prince of Wales Hospital, Hong Kong
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 341-347
1985年から1988年に香港の1,400床の大学医療センターで、病院感染の有病率調査を実施した。4種類の主要な病院感染(肺炎、症候性尿路感染、手術部位感染、および検査で確認された血流感染)の有病率を調べ、現在の分布および15年後の変化を明らかにすること目的とした。2005年9月7日に、1日の点有病率調査を実施した。入院患者全員の病院感染、市中感染、危険因子、分離病原体、および処方された抗菌薬を調べた。米国疾病対策センター(CDC)の判定基準に従って、感染の診断を行った。合計1,021例の患者を調査し、そのうちの41例に42件の病院感染が認められ(有病率4%)、389例(38%)が抗菌薬の投与を受けていた。最も多く認められた病院感染は肺炎(1.4%)で、次いで血流感染(0.9%)および症候性尿路感染(0.8%)であった。術後手術部位感染有病率は5.6%であった。院内有病率は集中治療室で最も高く、次いで小児・新生児集中治療室、小児癌センター・骨髄移植部門、および整形災害外科であった。最も多く認められた病原菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)および緑膿菌であった。有病率は以前よりも有意に低く、重症急性呼吸器症候群(SARS)のアウトブレイク後、利用可能な感染制御方法が増加したことを反映している。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
病院感染の点有病率調査の論文報告は多数あるが、15年前の値と比較した報告は少ない。4種類の主要な病院感染がいずれも減少していることは大変喜ばしいことであり、またそれをデータで明らかにした論文は貴重である。
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