コンタミネーション除去の実験的プロトコールの相違は医療器具の洗浄に影響する:電子顕微鏡による予備的分析★★

2007.04.30

Different experimental protocols for decontamination affect the cleaning of medical devices. A preliminary electron microscopy analysis


F. Tessarolo*, I. Caola, M. Fedel, A. Stacchiotti, P. Caciagli, G.M. Guarrera, A. Motta, G. Nollo
*University of Trento, Italy
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 326-333
本研究の目的は、心血管インターベンションに使用し、血液で汚染されたカテーテルに対する様々な除染・洗浄プロトコールの効果を調べることである。電気生理学的検査用およびアブレーション用の使い捨て器具を、細菌を添加したヒト血液で汚染させ、塩素発生剤、ポリフェノール乳剤、および酵素洗浄剤を用いた4種類の異なる滅菌前プロトコールを実施した。処理サンプルの検査を光学顕微鏡、走査電子顕微鏡、および透過型電子顕微鏡で行い、生物学的および無機残留物を特定し、その特徴を明らかにした。最初の処理に塩素を使用すると、血清蛋白質の変性により器具表面への血液成分の付着を招き、次の酵素洗浄剤による処理の洗浄効果が阻害された。逆に酵素から塩素処理するプロトコールは効果がより高いが、医療職員へのリスクも大きいと考えられた。ポリフェノール製剤による処理は生物学的負荷の除去に最も高いレベルの効果を示したが、このタイプの化学薬品と生体高分子との相互作用や吸収は、再使用時に毒性についての重大な懸念をもたらす可能性がある。適切な滅菌前洗浄は滅菌成功の基本であり、また分解能が高い電子顕微鏡により、血液汚染された器具を洗浄するための化学薬品の効果について重要で詳細な情報を得ることが可能である。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
もはや常識的なことであるが、有機物の除去の前に塩素やアルコールなどの消毒剤に浸漬することは、蛋白質の固着をもたらし、その後の洗浄プロセスを困難にする。血液媒介ウイルスによる汚染があるので、はじめに消毒してから洗浄するというような誤った不見識は、早急に改めるべきである。

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