ニードルレス・コネクターの微生物バリアの評価のための前向き臨床試験★★
A prospective clinical trial to evaluate the microbial barrier of a needleless connector
A.L. Casey*, S. Burnell, H. Whinn, T. Worthington, M.H. Faroqui, T.S.J. Elliott
*University Hospital Birmingham NHS Foundation Trust, The Queen Elizabeth Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 212-218
静脈内カテーテルとの直接接続を目的としたニードルレス・コネクター使用は増加の一途をたどっている。しかし、これらの器材の微生物汚染の可能性と、その結果としての感染リスクについては、依然として広く議論されている。本研究では、標準的なキャップ付き三方活栓ルアーの微生物汚染率を、Clearlink笂・ニードルレス・コネクター付きY型エクステンションセットルアーの汚染率と比較した。胸部外科手術を受け、術中あるいは術後管理の一環として中心静脈カテーテルを留置した患者50例を対象として、72時間後に患者に装着されたままの中心静脈カテーテル・ルアーにおける微生物汚染を調べた。各患者の中心静脈カテーテルに、キャップ付き三方活栓(対照患者)またはClearlink笂・/span>Y型エクステンションセット(試験患者)のいずれかを無作為に取り付けた。三方活栓またはClearlink笂・/span>器材の使用前後は70%(v/v)イソプロピルアルコールスワブで接続部を消毒した。標準的なキャップ付き三方活栓では200個、Clearlink笂・/span>付きでは193個、合計393個のルアーで微生物汚染が確認された。標準的なキャップ付き三方活栓ルアー200個のうち20個(10%)では内側表面が微生物で汚染されていたのに対して、Clearlink笂・/span>付きルアーの内部表面汚染は193個中のわずか1個(0.5%)であった(P<0.0001)。これらの結果から、指定の消毒法に従ってClearlink笂・/span>器材を使用することにより、中心静脈カテーテルのルアー内側の微生物汚染率が標準的なキャップよりも低下することが示された。したがって、これらのニードルレス器材の使用により管腔内のカテーテル関連血流感染リスクが減少すると考えられ、現行の予防ガイドラインの補完をもたらす可能性がある。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
血管内留置カテーテル関連血流感染症の予防として、三方活栓をニードルレス器材に変更することが注目されている。日本国内では針を用いたアクセスの閉鎖系器材が導入されず、ニードルレス器材を閉鎖系システムと同義な機材として紹介された経過があるので注意が必要である。この報告に限らず、三方活栓への優位性は今後の検討を待つ必要がある。
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