カタラーゼ陰性メチシリン耐性黄色ブドウ球菌のアウトブレイク

2007.03.31

An outbreak of catalase-negative meticillin-resistant Staphylococcus aureus


L. Del’Alamo*, P.A. d’Azevedo, A.J. Strob, D.V. Rodriguez-Lopez, J. Monteiro, S.S. Andrade, A.C.C. Pignatari, A.C. Gales
*Hospital Sanatorinhos de Carapicuiba, Brazil
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 226-230
ブラジルの病院では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の主要流行クローン(ブラジル・クローン)が広範に拡散しているため、アウトブレイク調査を目的としたパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)などの分子タイピング技術の意義が限定されている。これらの表現型解析で通常とは異なる結果が得られたことによって初めて検出された、カタラーゼ陰性MRSA株の最初のアウトブレイクを報告する。アウトブレイクはブラジルのサンパウロにある237床の二次病院であるSanatorinhos de Carapicuiba病院で発生した。2002年5月から8月に、集中治療室の患者4例から合計11株のMRSA分離株を回収した。分離株はすべてカタラーゼ陰性で、バンコマイシンおよびリネゾリドのみに感受性を示した。患者4例のうち3例は最終的に死亡した。分子タイピングにより、11分離株がブラジル・クローンおよび病院での通常のMRSA株と類似した、識別不能のPFGEパターンを示した。この報告は、アウトブレイク調査を開始するマーカーとして、通常とは異なる表現型が重要性であることを強調するとともに、臨床検査室ではこのような分離株を認識し、報告することを促すものである。
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監訳者コメント:
耐性菌アウトブレイク調査の標準的方法はPFGEをはじめとする遺伝子型(genotype)の検討である。ブラジル国内では特定の流行株が圧倒的に優位であるとしても、カタラーゼなどの蛋白の発現は不安定である場合が少なくないので、この論文で主張されているような発現型(phenotype)によるアウトブレイク調査が有用であるのか、さらに検討が必要であると考えている。

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