黄色ブドウ球菌の鼻腔保菌者の治療が心臓手術の創感染に及ぼす影響

2006.10.31

Impact of treating Staphylococcus aureus nasal carriers on wound infections in cardiac surgery


A. Konvalinka*, L. Errett, I.W. Fong
*University of Toronto, Canada
Journal of Hospital Infection (2006) 64, 162-168
黄色ブドウ球菌は術後創感染の一般的な原因菌であり、その鼻腔内保菌は感染症発症の重要な因子である。ムピロシン治療により、短期間での黄色ブドウ球菌の根絶が可能であり、保菌患者に対する予防的治療により黄色ブドウ球菌感染を予防できる可能性がある。黄色ブドウ球菌保菌者に対する術前のムピロシン経鼻投与により、心臓手術後の胸骨および下肢の創感染率が減少するかどうかを判定するため、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験を実施した。カナダ、トロントのSt. Michael’s Hospitalで待機的心臓手術を受ける鼻腔内黄色ブドウ球菌保菌患者263例を本試験に登録した。患者の感染の評価を、手術直後および2カ月後に実施した。患者257例をintention-to-treat解析の対象とし、さらに実際の治療に従って再解析を行った。創感染はムピロシン群17例(13.5%)およびプラセボ群11例(9.1%)で発生し(P=0.319)、このうち胸骨創感染はそれぞれ7例(5.4%)、6例(4.7%)であった。ムピロシン群の2例(1.6%)の感染は術後に生じたものであり、いずれも黄色ブドウ球菌が原因ではなかった。プラセボ群では3例(2.4%)が院内創感染を生じ、このうち2例(1.6%)が黄色ブドウ球菌菌血症であった(P=0.243)。ムピロシン群の106例(81.5%)で黄色ブドウ球菌が除去されたが、プラセボ群では59例(46.5%)であった(P<0.0001)。Intention-to-treat群と実際の治療群との間に有意差は認められなかった。黄色ブドウ球菌保菌者に対する予防的ムピロシン経鼻投与により、黄色ブドウ球菌による全手術部位感染率は減少せず、院内黄色ブドウ球菌感染の発生率を減少させる傾向のみが認められた。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
手術部位感染を院内感染としていないなど、用語の定義に混乱がみられ、結果の解釈が困難な論文。各症例群も少なく、プラゼボ群でも46.5%で除菌されるなど、本研究の結果から予防的ムピロシン投与の効果について判断するのは困難である。

同カテゴリの記事

2009.04.30

Management of infection control in dental practice

2012.07.31

The revolving door between hospital and community: extended-spectrum beta-lactamase-producing Escherichia coli in Dublin

2010.04.11

Characterisation of vancomycin-resistant enterococci from hospitalised patients at a tertiary centre over a seven-year period

2019.07.02

Prospective surveillance of bacterial colonization and primary sepsis: findings of a tertiary neonatal intensive and intermediate care unit

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ