軟性気管支鏡に関連した緑膿菌感染症の院内集団発生★★

2006.10.31

Nosocomial outbreak of Pseudomonas aeruginosa infections related to a flexible bronchoscope


R. Bou*, A. Aguilar, J. Perpinan, P. Ramos, M. Peris, L. Lorente, A. Zuniga
*Hospital de La Ribera, Spain
Journal of Hospital Infection (2006) 64, 129-135
2003年の7月1日から9月30日までに、市中病院の27床の集中治療室(ICU)で緑膿菌感染症の集団発生が17例の患者に検出された。感染症の危険因子(リスクファクター)を特定するために前後両方向のコホート研究(ambidirectional cohort study)を実施した。院内感染症の定義は米国疾病対策センターの基準に従った。RAPD-PCR(random arbitrary polymorphic DNA-PCR)法により遺伝子型別を行った。ロジスティック回帰分析により、症例患者は非症例患者と比べてよりICU在室期間が長く、より人工呼吸および抗菌薬治療が実施されていたことが示された。多変量解析により、独立した危険因子は、気管支鏡検査の最近の実施[リスク比(RR)3.8、95%信頼区間(CI)2.5~3.9]および感染症患者への曝露(RR 2.9、95%CI 1.1~3.7)であると判定された。分子解析により、解析できた分離株9株のうち、4例の患者の菌株が同一の系統であることがわかった。死亡リスクに影響する最大の因子は緑膿菌感染症であった(RR 2.1、95%CI 1.0~2.4、P=0.04)。隔離予防策の厳格な遵守や気管支鏡の洗浄および消毒に関する勧告からなる複合的な感染制御策を実施したところ、その後の緑膿菌感染症が急激に減少した。今回の集団発生は、患者から患者への伝播による、共通の感染源、すなわち軟性気管支鏡からの感染が原因であると考えられた。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
内視鏡を介した緑膿菌の院内伝播は、世界中で数多く報告されている。また緑膿菌は構造上本質的に消毒薬が効きにくく、またバイオフィルムを形成するので除去することが難しい。本邦でも有名大学病院で相次ぎ同様な事例が発生したのは記憶に新しいところである。軟性内視鏡のファイバーの外周を囲む表面の断裂部位から多剤耐性緑膿菌が検出され、これがアウトブレイクの契機となった事例もあり注意を要す。内視鏡の適切な機械洗浄も大切であるが、リークテストなど普段からのメンテナンスとチェックを怠るとこういった事例を起こすことに注意していただきたい。

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