手術器具の表面汚染除去:現在のジレンマ ★

2006.08.31

Surface decontamination of surgical instruments: an ongoing dilemma


H. Murdoch*, D. Taylor, J. Dickinson, J.T. Walker, D. Perrett, N.D.H. Raven, J.M. Sutton
*Health Protection Agency, UK
Journal of Hospital Infection (2006) 63, 432-438
手術器具の表面における変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)病原体の残存および交差感染の問題から、複数回使用の手術器具を清潔に保つことの重要性が明確になっている。本研究の目的は、病院での平常の清掃および消毒の有効性の指標として、様々な手術器具における総蛋白質汚染の程度を評価することである。通常なら手術室へ戻される段階の包装して加圧滅菌した器具を、トレーの所属を隠して、分析のため2カ所の研究室へ提供した。器具の残留蛋白質および有機物の総量を分析した。研究室Aでは、器具の17%(206例中35例)が200 μgの閾値を上回ることが示された。McIvor開口器、Draffin rod(小児用)、Yankaur吸引器で抽出蛋白質が最も多かった例は、それぞれ1.028 mg、1.286 mg、2.228 mgであった。研究室Bで分析した、別々の病院の器具からの抽出蛋白質量中央値(25th、75thパーセンタイル値)の範囲は、8(3、30)μg(病院C)から91(35、213)μg(病院D)であった(P=0.044)。器具から洗い落とされた残留物質は、0.62(0.32、0.81)mg(病院E)から3.5(3.5、4.0)mg(病院A)までばらつきがあった(P=0.0001)。1つの例では、器具(split stem)から45 mgの残留有機物が洗い落とされた。結論として、一定の割合の器具で、使用時にプリオン体による直接的な交差感染を起こす可能性のある濃度の蛋白質、またはプリオンや従来の感染性物質を標的とした洗浄/消毒方法の有効性を減少させる可能性のある濃度の蛋白質が、使用時点で認められることが示された。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
手術器具から有機物が十分に除去されずに滅菌され再使用されているかもしれないことは、以前から報告されていた。この研究は、蛋白質量を定量しており、より科学的な検証といえる。

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S.M. Gerver*, M. Mihalkov, J.F. Bion, A.P.R. Wilson, D. Chudasama, A.P. Johnson, R. Hope, on behalf of the Infection in Critical Care Quality Improvement Oversight Group
*Public Health England, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 1-9

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