医療従事者における重症急性呼吸器症候群(SARS)の院内感染を最小限にするための集団発生制御における統合的感染制御戦略の利用

2006.02.28

Using an integrated infection control strategy during outbreak control to minimize nosocomial infection of severe acute respiratory syndrome among healthcare workers


M.-Y. Yen*, Y.E. Lin, I.-J. Su, F.-Y. Huang, F.-Y. Huang, M.-S. Ho, S.-C. Chang, K.-H. Tan, K.-T. Chen, H. Chang, Y.-C. Liu, C.-H. Loh, L.-S. Wang, C.-H Lee
*Kaohsiung Veterans General Hospital, Taiwan
Journal of Hospital Infection (2006) 62, 195-199
重症急性呼吸器症候群(SARS)患者をケアする際に、医療従事者はSARS罹患リスクにさらされる。個人防御用器材および陰圧隔離室では、医療従事者を完全に保護することはできない。著者らは、バリアを用いた患者のトリアージ、危険ゾーンの設定、手袋着用で手指擦式消毒するためのアルコールディスペンサーの広範囲にわたる設置からなる、革新的な統合的感染制御戦略を紹介する。この統合的感染制御法は、陰圧隔離室のないSARS指定病院(研究病院)で実施された。この研究病院でSARSに罹患した医療従事者の数を、統合的感染制御戦略を採用しない台湾の86病院でSARSに罹患した医療従事者の数と比較した。同時期の3週間の期間中に、研究病院では医療従事者2名がSARSに罹患したが(1床あたり0.03症例)、他の病院では93名であった(1床あたり0.13症例)。著者らの戦略は医療従事者のSARS罹患発生率減少に効果的と考えられる。有利性として、陰圧隔離室を用いない迅速な処置、患者の移動に対する柔軟性、医療従事者による感染制御戦略遵守の強化(特に手洗い)などが挙げられる。特にリスクにさらされる人口が多く財源に乏しい国々においては、その有効性と低コストは大きな利点である。
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