胸腰椎・腰椎後方インストゥルメンテーションを用いた患者の術後手術部位感染症の臨床転帰
Clinical outcome of postoperative surgical site infections in patients with posterior thoracolumbar and lumbar instrumentation T. Zhang*, X. Lian, Y. Chen, B. Cai, J. Xu *Shanghai Jiaotong University Affiliated, China Journal of Hospital Infection (2022) 128, 26-35
目的
術後の手術部位感染症(SSI)、特にインストゥルメンテーションを使用した脊椎手術後は障害の発生率が高い。インプラント関連 SSI の管理は困難である。本研究では、胸腰椎・腰椎後方インストゥルメンテーション後の術後 SSI と関連する罹病率および特性を評価するために、病院データベースによりデータを分析した。
方法
患者背景、感染症の特性、治療の詳細、周術期因子をレビューした(2010 年 1 月から 2020 年 12 月)。Oswestry Disability Index(ODI)、Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)、背部痛・下肢痛のVisual Analogue Scale(VAS)スコアを、術前、術後、最終追跡調査まで分析した。
結果
データベースから収集した手術患者 27,881 例のうち、521 例(1.8%)が SSI と診断された。このうち 191 例(36.7%)が、SSI に対して少なくとも 1 回の再置換術を受けた。感染症発生率は腰部脊柱間狭窄症の患者のほうが、脊柱側弯症または脊柱後弯症の患者よりも有意に高かった(P < 0.01)。もっとも頻度の高い分離菌は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)であった(43.4%)。抗菌薬治療による合併症の発生率は 7.8%であり、抗菌薬による長期の菌抑制が患者の 15.2%で報告された。175 例(91.6%)でインストゥルメンテーションが維持され、すべての SSI が追跡期間中に再発なく制御された。
結論
患者 27,881 例の分析により、平均 SSI 発生率は 1.8%であることが示された。深部創 SSI の患者はインストゥルメンテーションの維持により、ほとんどの場合、治療が功を奏する。感染症を完治させ、インプラントを維持し、罹病率を低減し、創傷治癒を達成するためには、早期診断、十分な洗浄による積極的な再置換術、徹底的なデブリードマン、長期抗菌薬投与が重要である。
監訳者コメント:
胸腰椎・腰椎後方インストゥルメンテーション術後の SSI において 8.4%でインストゥルメンテーション除去が必要であったことは少ないとも多いともいえる印象である。しかし 100%で再発なく制御できているというのは特筆すべき治療成績である。使用抗菌薬で全身投与の抗菌薬以外にバンコマイシンパウダーが 76.4%に、ゲンタマイシンゼラチンが 23.6%に使用されているのが気になったが・・・
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