蛇口で制御せよ:集中治療室における緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の水系伝播を抑制する★★

2019.05.10

Tap out: reducing waterborne Pseudomonas aeruginosa transmission in an intensive care unit


M.I. Garvey*, M.A.C. Wilkinson, K.L. Holden, T. Martin, J. Parkes, E. Holden
*Queen Elizabeth Hospital Birmingham, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 75-81
背景
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は普遍的に存在し、免疫不全の重篤患者における重要な日和見感染病原体である。院内緑膿菌アウトブレイクは、病院の水系システムが原因とされている。
目的
蛇口の汚染を低減する工学的介入について、ならびに介入後の臨床的効果について記述すること。
方法
集中治療室(ICU)内の選択した蛇口に新しい蛇口を設置した。実験的に緑膿菌で人工的に汚染した後、これらの蛇口をウォッシャ−・ディスインフェクターでの洗浄消毒により効果的に汚染除去ができたことが示された。ICU 内の新しい蛇口から水サンプルを 8 か月間にわたり週 1 回採取し、膜濾過法により緑膿菌の菌数を計数した。臨床サンプルによる緑膿菌サーベイランスをルーチンに実施した。
結果
介入前は、ICU の水サンプル採取により、いずれかの一時点において蛇口の 30%で緑膿菌陽性が認められ、全ゲノムシークエンシングのデータから、水から患者への伝播が少なくとも 30%発生していたことが示された。新しい蛇口の設置後、これらの蛇口から週 1 回採取したサンプルでは緑膿菌陰性であり、緑膿菌の臨床分離株の数が 50%減少した。
結論
蛇口の設置と、緑膿菌陰性の維持により、ICU において緑膿菌の臨床分離株の回収数を大幅に減少させることができる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
緑膿菌は生活環境のいたる場所に生息し、免疫不全患者における重要な日和見感染病原体である。緑膿菌は湿潤環境を好むため、本菌によるアウトブレイクが発生した場合には水場が関与することとなる。水道の蛇口と配管は微生物がバイオフィルムを作り、都合の良い定着場所となる。水道蛇口の細菌の定着によるアウトブレイクはこれまでも多数報告されており、本論文は細菌のバイオフィルム形成防止を目的に新たにデザインされた蛇口で、取り外し可能で分解後オートクレーブができるようになっている。蛇口に微生物が定着するとなかなかこれを除去することが困難となり、蛇口へのフィルターの装着か、あるいは予算がかかるが蛇口の交換となる。この新たな蛇口は、注ぎ口や混合バルブを含めた蛇口一体が取り外しできるという新たな発想で作られている。この導入効果については多施設共同での検討が必要である。

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