オランダのナーシングホームにおける医療関連感染症の有病率:2010 年から 2017 年の追跡研究

2019.01.05

Prevalence of healthcare-associated infections in Dutch nursing homes: follow-up 2010-2017


A. Eikelenboom-Boskam*, K. Saris, M. van Loosbroek, M.I.J. Drabbe, F. de Jongh, J.W.D. de Jong, P.G.M. Boom-Poels, A. Voss
*Canisius-Wilhelmina Hospital (CWZ), The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2019) 101, 49-52
オランダのナーシングホームにおいて 2007 年から 2009 年の毎年 11 月に実施された最初の点有病率研究を受けて、著者らは 2010 年から 2017 年にかけて毎年 11 月に医療関連感染症の追跡点有病率研究を実施した。以前の研究と同様の方法と基準を用いた。入居者の特性を記録し、データ収集はオンライン調査によって高齢者ケア担当医師が行うとともに、2012 年以降は特別にデザインされたアプリを用いても行った。同年より、失禁に関する情報が追加された。2010 年から 2017 年までに、年あたり平均 1,786 例(範囲 1,571 例 ~ 2,185例)の入居者を組み入れた。医療関連感染症の有病率は、全年度において年齢(平均 83 歳)および性別(男性 31%、女性 69%)にかかわらず同様であった。全体的な平均有病率は、最初の 4 年間の 6.7%に対し、最後の 6 年間では 2.2%であった。最も有病率が高かった医療関連感染症は尿路感染症であった(1.5%)。ほとんどの医療関連感染症が、リハビリテーション施設の入居者で発生していた。医療関連感染症の有病率には、ナーシングホームによってばらつきがあった(0.0 ~ 37.0%)。抗菌薬の平均使用率は、全年度を通じて医療関連感染症の有病率に関わりなく一定であった(6.0%)。失禁用品(おむつなど)の使用は入居者の平均 73.5%でみられ、64.3%は失禁を伴うと報告されていた。新しい環境におけるこうした感染制御およびサーベイランスを改善する取り組みは、その取り組みが成功するまで数年間にわたり継続する必要がある。
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監訳者コメント
病院における医療関連感染症の疫学に関しては様々なサーベイランスデータが出そろってきているが、ナーシングホームなどのにおける医療関連感染症の実態は十分に明らかになっていない。改善を行うにはまず現状を知る必要がある。日本でも同様の調査が期待される。

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