硬膜外カテーテル離断後の防御策がカテーテル内腔の菌定着に及ぼす効果:in vitro 研究

2014.02.28

Influence of protective measures after epidural catheter disconnection on catheter lumen colonization: an in vitro study


D. Scholle*, F. Kipp, A. Reich, H. Freise
*University Hospital of Muenster, Germany
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 133-137
背景
硬膜外麻酔は優れた疼痛治療法であり、これにより術後の疾患および死亡が減少する。この治療法の重篤な合併症として、硬膜外血腫と感染症が挙げられる。不慮のカテーテル離断の発生後は、再接続か治療中止かの選択を迫られる。硬膜外カテーテル離断後の臨床的意思決定の指針となる実験的または臨床データはほとんどない。
目的
臨床使用されている硬膜外カテーテル離断後の安全対策の効果を、in vitro で調査すること。
方法
硬膜外カテーテルの近位 20 mm を表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis) 1 × 108 cfuの縣濁液に浸漬した。カテーテルを、予防対策と考えられる以下の方法で処理した。(i)汚染部位から遠位 20 mm の箇所の切断、(ii)消毒薬噴霧と拭き取りによる消毒、または(iii)生理食塩液の代わりにロピバカイン 0.75%を用いるフラッシング。各対策を、単独、2 種併用、または 3 種併用で評価した(各群カテーテル 10 本)。対照カテーテルは未処理とした。24 時間培養後、溶出液中の細菌増殖を記録した。
結果
対照カテーテルはいずれも培養陽性であった。単独、2 種併用、または 3 種併用介入において切断を行ったカテーテルの溶出液 49 件はいずれも無菌であった。単独または 2 種併用介入で消毒を行った場合に、溶出液中の細菌増殖の予防が認められたカテーテルは 6 本のみであった。ロピバカインによるフラッシングでは細菌増殖の予防はできなかった。
結論
硬膜外カテーテルの汚染部位から遠位 20 mm の箇所の切断のみが、細菌増殖を完全に予防した。消毒は付加的な対策としてリスクをさらに低下させると考えられた。この結果は、カテーテルを切断・短縮して、再接続するという臨床実践を支持するものである。時間と切断長に関する安全域について、さらなる調査が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
硬膜外カテーテルが離断した際の対応を、実験的に検討したものである。先端を細菌で人為的に汚染し、その後に 20 mm チューブを切断すると、チューブ内の感染が防げるとしている。汚染後の時間経過が考慮されていない点で問題が残るが、離断直後であればチューブを 20 mm 切断した後に再接続が可能であることを示唆している。

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