集中治療室におけるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)伝播の可能性:遺伝子型判定と時間的クラスター分析

2013.09.30

Possible transmission of Candida albicans on an intensive care unit: genotype and temporal cluster analyses


F. Hammarskjöld*, S. Mernelius, R.E Andersson, S. Berg, H. Hanberger, S. LÖfgren, B.-E. Malmvall, M. Petzold, A. Matussek
*Ryhov County Hospital, Sweden
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 60-65
背景
カンジダ(Candida)属菌の院内伝播については十分調査されておらず、これまでの研究で示された結果は一貫していない。
目的
集中治療室(ICU)における Candida 属菌の院内伝播の可能性を評価すること。
方法
サーベイランスまたは医師の指示による培養により Candida 属菌の増殖が認められた当院 ICU の全患者を対象として、19 か月間にわたって前向き試験を実施した。反復配列PCR法を用いた分子タイピングにより、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)およびカンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)の分離株間の遺伝子型の関連を明らかにした。同一郡内の当 ICU 以外の患者の血液培養から採取した Candida 属菌分離株を基準株とした。遺伝子型の分布の経時的な変動を評価するために時間的クラスター分析を行った。
結果
ICU への全入室件数の 12%である 78 件、77 例の患者から、Candida 属菌分離株 180 株を検出した。分子タイピングにより、27 の C. albicans 遺伝子型と 10 の C. glabrata 遺伝子型が特定された。互いに識別不能な遺伝子型の Candida 属菌を保有する患者の入室期間が重複していたことに基づいて、C. albicans で 7 件、C. glabrata で 2 件のクラスター化の可能性が示された。基準株と比較して、ICU 分離株では 2 つの C. albicans 遺伝子型が有意に高い頻度で認められた。また ICU 分離株では、複数の患者から検出された C. albicans 遺伝子型の数が有意に多かった。時間的クラスター分析からは、21 日間隔での解析の場合に、互いに識別不能な遺伝子型が検出された患者ペア数が有意に増加することが明らかとなり、クラスター化が生じたことが示された。
結論
本研究から、遺伝子型判定と時間的クラスター分析に基づいて、ICU の患者間で C. albicans 伝播が生じた可能性が示された。
サマリー原文(英語)はこちら

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