病院の給水サンプルにおいて緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)と誤認

2023.03.10

Misidentification as Pseudomonas aeruginosa in hospital water supply samples

S. Taudien*, W. Leszczynski, T. Mayer, U. Loderstät, O. Bader, M. Kaase, S. Scheithauer
*University Medical Center Göttingen, Georg August University Göttingen, Germany

Journal of Hospital Infection (2023) 133, 23-27


緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は病原性を示す可能性があるため、病院の飲料水はこの菌の有無について検査されることが多い。本稿は、1 病院の給水システムから同時に採取した 11 サンプル中 7 サンプル(64%)で、EN ISO 16266 に基づき緑膿菌陽性の有無を検査した事例について記述する。これは結果的に広範囲にわたる調査と介入につながり、多くの対策が実施された。一方で、より識別力のある副次分析(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法、16S-rRNA シークエンシング)では、緑膿菌が完全に除外された。著者らは、この問題への関心を高めることを望み、EN ISO 16266 により得られた結果の診断の不確実性を、試験報告書に示すべきであると提案する。分析の不確実性が、健康上のリスク評価と医療環境で開始される改善策に著しく影響するように、病院の給水システムにおける緑膿菌の存在の誤認は不必要な制御策につながりうる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

この論文は、病院の飲料水中に緑膿菌がいるかどうかを検査する際、EN ISO 16266 に基づいた検査法によって誤って陽性となるケースがあることを報告している。この誤認は広範囲の調査と介入を必要とし、健康上のリスク評価と病院の給水システム改善策に著しく影響する。しかし、より識別力のある分析法である 16S-rRNA シークエンシングによって緑膿菌は除外されている。著者らは、この問題に対して検査結果の不確実性を報告することが必要であると提案している。この論文は、病院の水質管理における検査方法の改善の必要性を示し、医療現場における衛生管理に貢献する研究である。

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